関西EXPO’25 見学会    大屋根リング感想記  2025/06/27

万博が始まった。建築を学ぶ者は行かねばと、参加を募ったところ、ほとんどの生徒が参加を希望。梅雨の頃で空いていそうな6月下旬の金曜日に見学会を行った。たくさんの興味深い建築があるのだが、ここではまず話題となっている大屋根リングの建築的意味について感じたことを紹介しよう。

東ゲートから進むと、大きな大屋根リングが見えてくる。もっとも高い部分。圧倒的な壁であるが、威圧的な感じは受けない。木造であること、透けていること、通行が自由であることから来る印象かもしれない。

リングの中で記念写真。ここでとりあえず解散。みんな自由に見て回ってください。

さっそく上に上がる。ところどころで非常階段通路があってこうしたリング内部を上から望むことができる。このあたりだけでも舗装面に工夫があって欲しかったな。

リングの上は周遊通路であり、屋上庭園である。残雪を思わせる白く見える部分はビニル膜だが、それほど嫌でない。透過光が下の通路を明るく照らしている。

ところどころに四季の花が植えられて楽しむことができる。水が上から常に流れているようだ。土の深さは10cmほどか。いわばポット苗のようになっていて、交換が容易にできるようになっている。

海に面した部分。透かした眺めを得られる。貫梁の構成や楔のディテールを見る。

半月池の向こうに望むリング。上を歩く人の姿がいい。高さをいろいろに変えて動きを与えている。この辺りは貫梁が3段となっている。一番、リングをしっかり見せる場所となっている。

内外に覗く建築のフレームとして活かされている。これはo+h デザインの休憩所。

同じくフレームとして活きている例。飯田グループ+大阪公立大学共同出展館。

リングはストリート。日陰を与えてくれる。各所に配されたベンチがよく利用されている。

夕日が射して表情が変わってきた。

リングに呼応するかのようなデザインのパヴィリオン。(ウズベキスタン)

やっぱりこの風景は中世ヨーロッパの都市壁そのものだ。

上から見られることを意識したパヴィリオンも。(サウディアラビア館 となりのスペイン館やドイツ館など)

あちこちの広場や街路を行く人々の眺めがいい。遠く、対岸のリングを行く人々のシルエットの見え方がまたいい。人々はたえず動いていて、風景全体に活力を与えている。動き回る人々が風景の主役でもある。もし人がいなければ、死んだ模型の眺めと変わらない。大屋根リング通路を行く人はこうした見られる群衆の一人として風景に参加していることに気づく。

日が落ちて照明されてリングは主役であることを主張する。リングの上の群衆もまたこのオペラハウスの観客であり、劇中人である。

花火やドローンショーを鑑賞する人でリング屋上はいっぱいになる。大劇場の光景がこうして完成する。EXPO’70 のお祭り広場のような群衆の参加がそのまま中心となる仕掛けがないではないかと思っていたのだが、どっこい、ここにずっと大きなお祭り広場が創られていたのだ。

(SANO)