「守山の家」玄関にて
「卒業生この人」シリーズ2人目は2003年卒業の杉江崇さん。卒業後、京都の野田建築設計事務所に勤務、8年後に独立、一級建築士事務所「スギエタカシ建築研究所」開設。今日は昨年の春に竣工した「守山の家」にて取材をさせていただいた。滋賀県の広い田畑の中に建つ平屋のたいへん美しい家だ。
和室にて
玄関脇にある和室は、お客様をお迎えする部屋。西向きの低く仕立てられた窓からはずっと遠くまで広がる田畑の風景が望まれる。屋根の化粧垂木を見せて実に柔らかい感じに。
さの:杉江君は確か大学を出てから学校に来たんだね。
杉江:大学を出て、キッチンの営業をしてました。
さの:そうだった。やはりデザインをしたかった?
杉江:はい。建築全体をやってみたかったです。
中庭にて
さの:学校はどうでしたか?
杉江:よかったです。木造の勉強ができたし、仲間にも恵まれました。
さの:木造がしたかった?
杉江:いえ、当時はコンクリートもしたかったです。
さの:君は木造よりも大きな建築の方がいいと思っていたよ。
杉江:設計事務所では、いろいろな施設を設計させてもらいました。でも、住宅がやってみたくなって。
さの:住宅の何がいい?
杉江:施設とは違って、常に人がいる。人が見えて、全てが詰まっているということですかね〜。
さの:この家を見ていると、コンクリート的な壁を勝たせているところなんか、木造ばかりやっている人ではこうはならなかっただろうなと思ったよ。
杉江:そうですか。僕は玄関前の廊下の低くて、木の構造が見えているところが好きなんです。
さの:住宅を設計するときに、どんなことを大事にしている?
杉江:人の生活を中心に考えているので、無理をしない、自然を意識しています。
リビングにて中庭を望む
さの:他の作品を見ても、庭を意識しているね。
杉江:はい、外へのつながりをいつも考えて設計しています。
さの:この家でも、中庭がテーマなんだね。
杉江:一軒家で目立つので、外からあまり内部を覗かれないように考えてのことですが、採光や通風はもちろん、ここだけの自然を意識しています。どの部屋からも、景色として成り立つように、庭師さんにお願いしました。
さの:学校で得たものは何かあるかな?
杉江:ものをつくる姿勢、でしょうか。それまでの仕事は商売でしたが、学校でコツコツ、手間暇かけてつくっていくということを学んだような気がします。
さの:しんどくない?
杉江:楽しいです。真剣に向き合うこと、向き合えることの喜びというか、楽しみは、他に代えられないと思っています。
さの:素晴らしい。これからもどんどんいいものをつくってください。今日はどうもありがとう。お住いの取材に快くご協力頂きましたOさん、ありがとうございました。