都市に生きる火葬ー京都・船岡 奥村 賢人
都市の中に火葬場を設置する。
場所は古代京都で風葬の地だった船岡山。
個性ある一人一人の人間が生きて死ぬように、この建築もまちの中で生きて死ぬような、一つのストーリーになって欲しい。
都市レベルでは、少子高齢化問題から余剰インフラ維持の問題を拾い上げながら、
「都市のたたみ方」の一環としての火葬場を提案し、住む場所の中に迷惑施設をいかに導入することができるかを検討し、また、このような施設が地域に建つことで、そこに住む人々が老若男女問わず次世代の精神を得られる可能性を探り、古の都がタブーを克服する最新の都市となることを考えた。
建築レベルでは、葬送の場として今生きている人たちの慰めとなるべく、京都を一望できる場所とし、配置や設計は2年間で培った神社の左方優位や門、都市の方角、ヒエラルキーなどのスタディを援用したつもりである。また、災害時も稼働し続けるガンジス川のオマージュ的なプログラムをどうしてもふくめたかった。
全てが終わった後、人を葬った施設が墓標となって人を弔ってくれることで、古代京都・現代京都・未来京都・災害京都・遺跡京都という時間軸を一つの建築においてデザインすることができたように思う。(奥村賢人)