建築の設計は実にいろいろな技術や知識と努力を動員してようやく出来上がります。
どういう間取りが必要になるか?(計画学)
光や風を採り入れる窓は?(環境工学)
柱や梁の太さや配置は?(構造学)
壁や屋根の材料は?(材料学)
歴史的に意匠がおかしくないか?(建築史)
どういう手順で工事を進めるか?(施工法)
コストはどのくらいかかるか?(積算)
エアコンや電気配線は?(設備工学)
法規制に適合しているか?(法規)
満足の行く姿かたちになっているか?(意匠)
などなど、いずれも欠かせない知識で、学校の授業はこれらの知識を学ぶのが基本となっています。 (→カリキュラム(建築科・建築科二部)を参照)
でも、これらの知識だけで設計ができるわけではありません。設計のためには、設計図が描けなくてはいけませんね。設計図は、建築の構成物を線と寸法、文字で示した画図で、この習熟には、たくさんの設計図を描いて練習するのが一番です。学校では週の内、2日は設計製図の日に充てて、最も時間をかけて学んでもらっています。
設計製図は、まずは手描きで覚えてもらい、後にパソコンを用いたCADで図面を作成する練習を行います。CADは図面を作成するのには便利な道具ですが、身体的な感覚を共にするという点からは、手描きに及びません。同様に、パソコンで作成できる3Dの透視図もまた便利なツールですが、思いがけない着眼点を豊富に与えてくれる模型には及びません。
本当の建築の面白さ、豊かさは、高度に抽象化された操作的な空間構成よりも、もっと生な素材や職人の手の痕に醸し出される感動であったり、長年の自然の風食によって得られる相貌であったり。いずれわかります。
まずは自分の感性を一緒に育てて下さい。