3P土壁モデル耐力試験 1月9日

寒い寒い1月の雪混じりの雨がそぼ降る中、土壁3Pモデルの耐力実験をしました。年末に木工チームで頑張って塗り上げた土壁です。大事に実験しなくては。

ジャッキはHaruya君、パソコンはMikiya君が担当してくれました。実験は順調に進み、これは1/30rad、91mm変形時のものです。耐力は13.5kNでした。

最後の押し切るところ、180mm、ほぼ1/15radの変形まで行きました。耐力は15.48kN。バキッと音がしているのはホゾが折れつつある音のようです。

   

小壁を受けている鴨居を留める横栓も回転の力を受け、縦に破断しています。ここでかなり強い曲げを受けていた左の柱が大きな音を立てて、縦に破断しました。この破断により、3kNほど耐力が落ちました。

  

土壁の下部にもっとも大きな割れを生じていますね。裏面では大きなクラックは生じていない代わりに、大きく膨らんでいます。貫のあたりで土が外側に座屈しています。こんな変形で耐力は逃しているのでしょうけれども、それでもまだ1.5tの耐力を維持しています。こんなに大きな変形を受けても、土壁はしっかりと残って耐力を残してくれているのは頼もしいですね。

この結果をグラフにまとめたものです。土塗りをする前のデータと比べてみれば、いかに土が耐力をあげているかがわかりますね。

以前の1P土壁モデルの耐力実験と比較すれば、1/60rad時の耐力で5~6kN、今回が10~11kN、ほぼ2倍に、最大耐力では8~9kN(1/30rad)、今回が13.5kN、ほぼ1.5倍になっています。小壁の力は結構あるのだということが言えますが、実験で見たように、小壁を留めている鴨居や柱が傷んで耐力を落とし、それ自体も使えなくなってしまうことを思うと、そう喜んでばかりもいられないですね。

大きな地震の場合でもしっかり受け止めてくれる耐力はあるものの、そのあとでかなりの修復の負担が大きいことを思うと、そこまでの耐力をかけなくても済むように設計しなくてはいけないということでしょう。1/20rad程度までなら、それほど大きな損傷は見られなかったことを覚えておきたいものです。(さの)