先日の実験の結果のグラフです。特定変形角θ=1/150rad(18.2mm)での耐力は2.74kN。
壁倍率を求めると、1.5ほどになります。(ばらつき係数を乗じて1.2)まずまず平均的な強さということになります。
昨年の実験結果と比較してみます。
この土壁では 2.7kN(@1/150rad)でほぼ同じですが、最大強度 Pmax=8.8kN(@1/30rad)でした。
これより大きな変形時に耐力が若干下がっています。今年の土壁はPmax=7.63kN(@1/20rad)で、
弱いなりに、耐力はまだ上がっているとみられます。
これはおそらく、土が比較的柔らかく、耐力こそ上がらないものの、変形に強く、粘りがあって、
耐力は大きな変形にあっても、さほど落ちないという利点があると言えるかと思います。
今年用いた土は、長岡京市の竹農家さんが農作業小屋を建設された折に、近所の山から調達された
土をいただいて作成したものです。(昨年の土は、深草大亀谷の土を基にしたものでした。)
以前の別の条件のものと比較してみます。学校のHP 「伝統を科学する」
(https://kyotokenchiku.ac.jp/kac/concept/concept_tradition/trad_structure/)で紹介されている土壁は、
3.3kN(@1/150rad)で壁倍率1.85、Pmax=10.2kN(@1/20rad)で、ずいぶん強い壁であることがわかります。
今年の壁が薄貫4段であるのに対し、これは厚貫5段ですから、その分の違いが反映されているものと
みられます。 (さの)