卒業30周年という卒業生たちの同窓会に参加した。時々顔を合わせる者もいるが、ほとんどは卒業後、初めて会う子たち。顔に見覚えのある者もいれば、名前をしっかり覚えている子もいる。僕がこの学校にアルバイトで来て2年目の当時は僕も30歳だった。彼らとは12歳しか違わない。みんな若かったね。街に仕事は溢れ、なんの心配も要らなかった時代。卒業後、バブルの大波に揉まれ、やがて落ち着いて、今にいたる。各人がめいめいのストーリーを持っている。
卒業後30年、歳も50になるあたりは、よくも悪くも落ち着いて来て、自分の仕事がこの先どうなるか見えてくる頃なのだと、誰かが言った。そういえば、同窓のあいつはどうしているんだろう、と気になる年頃なのかもしれない。
設計事務所をやっている者、大手施工会社のもとで大きな現場を切回している者、親の会社を継いで元気でやっている者もいれば、職を失い友の会社に身を寄せている者もいる。有名工務店で番頭格となっている者、数奇屋大工として世界的なレベルの仕事を手にしている者。輝かしい者もいれば、人知れずやっている者も。夢を語る者もいれば、借金返済だけを地道にやってきたと言う者も。でもここに来ている彼らの表情は、みんな、いい。ふと、ここに来ていない懐かしい者たちの名前が湧きあがって来た。彼らはどうしているのだろう? (さの)