建築科二部 二年生 設計製図2「公園の設計」発表 5/12~5/19

2年生の設計製図2はほとんどの課題が自由設計になります。

その第一弾は「公園の設計」です。

実際にある敷地、京都市内の有名な繁華街 木屋町通と三条通りの交差点にある安藤忠雄氏設計の有名な商業建築 TIME’Sを敷地と設定し、「憩い」をテーマに公園を設計します。

 この課題は20年以上伝統的に続いてきたもので、これから卒業設計に向かう学生たちにランドスケープ、街との関係などを考える訓練と捉えています。

 検討からプレゼンまで3週間程度のタイトなスケジュールでしたが、3回分の夜の日程を使い、全員15分程度の発表、全員で評価しました。

二部は夜間クラス。学生の多くは一度社会に出たのち、また他大学で別分野を学びながら、様々な理由や戦略を胸に学びに集まっています。非常に多様で個性的な面々の設計を是非覗いてみて下さい。

発表の様子

幾つかの入選作品です。

優秀賞は熊田さんの公園の設計

子供のころ楽しかったジャングルジムの記憶に着想して木製の格子を出現させた。よじ登って自分の好きな場所を見つけるという物。この案に至るプロセスが面白く、最終のイメージの美しいさが評価されました。

菊池さんの公園の設計

TATAZUMU(佇む)をキーワードにモニュメントや路を緩やかな曲線や姿で出現させ美しい景観をつくりました。

狩野さんの公園の設計

3-re-n公園(3連公園)

鉄骨のアーチやスロープを組合せ、レンガ壁と一緒にノスタルジックに雰囲気を出しています。因みにrefuge,relaxation,recreationの3reでもあるとか。今年はコピーを練る学生が多いのも特徴でした。

西尾さんの公園の設計は、その日の日照や風の違いで、公園の流水や照明が僅かに変化し、その変化に気付きリラックスして憩うという物。

まだ、ディティールまで詰められていないけど、発電した電気を媒体に、時間差で環境を表すアイデアは興味深い、良く練られた設計でした。

伊津さんの公園の設計は「園咲公園」(そ
の先公園)実際敷地を見にいき、ここを通りかかる人々は急ぎ足で、公園があっても気に掛けないのではと感じた。それで、三条通りから見てトンネルをつくり、その先に美しい生け花を毎日活ける、という案を考えた。トンネルのその先(園咲き)という訳です。コピーも練られているね。

覺心くんの公園の設計は

「環水公園」

棚田の様に水が地下レベルまで流れていきこれを人生に捉えて、最深部で人が出会うという物。地中レベルを使うというのがおそらく始めてであり、ストーリーとシンプルな手法の整合の美しさが評価された。プレゼンはまだまだ拙いけど今後に期待して「髙橋賞」受賞

岡本さんの公園の設計は「時の神社、公園」

Time’sの敷地だから「時の神社」なのだろうか。

夜間のこの地域は繁華でにぎわうが少し怖いという印象。そこに聖域を造り、全存在を祝祭する、、という場所にするとの事です。

電磁関係の技術にブレークスルーがある事を想定し空中に浮く参道と大きなしめ縄を創り出した。インパクトが大きいがなぜか説得力のあるプレゼンテーション。エンターテイメントとしても大いに盛り上がりました。「円満字賞」受賞です。

中野さんの公園の設計は平安時代の庭園の再現です。源氏物語に出てくる二条院の記述を頼りに美しく復活させました。

もともと美大で日本画を専攻していたそうで、歴史的な視線での講評は我が校副校長の桐迫先生に委ねました。

入選ではありませんでしたが、大野さんは鉄工所でオブジェを製作してきたり、上田さんの巨大な苔むした壁を立ち上げた模型、石丸さんの京都全体の環境を考慮したビオトープ案、その他諸々、、、非常に興味深い公園のアイデアが沢山出現した発表会でした。

夜が更けていく中、熱い発表が続いていきます、、、(9時半終了です)

次回課題は「学校の増築計画の設計」です。どんな面白い案が飛び出すやら、楽しみです。

(髙橋勝)