11月4日、中京区の長屋現場に毛利さんと淡路大栄窯業の道上大輔さんが来られた。銀古美と銘打った瓦をつくられ、精力的に活躍されている方。たまたまFacebookで拝見した淡路の原料となる土の中に青い浅葱土とおぼしき土が見えたので、尋ねたところ、さっそく土を持って来てくださった。これでよければ淡路島までトラックで来てくださいと。こんな嬉しいことはない。この長屋にも浅葱土はよく塗られていた。出来ることならぜひ表に塗りたい。お忙しい中、ありがとうございました。
道上大輔さんと。
道上さんと一緒に現場をしている毛利隆之さんと坂本さん
淡路島の浅葱土の原土を持って来てくださった。まだまだ淡路島にはあるよと。この細かな還元色の粘土は畳表の藺草を染めるのにも用いられている。
以下はFacebookでのやり取り。
道上:本日はお忙しい中お会いいただきありがとうございました!このような”確かに人の手と知恵で作っている”建築現場を見ると、伝統素材たちも喜んでいるように感じ、また僕らも大いに励みになります(^^)。ぜひ淡路島でお待ちしています。
さの:道上さん、こちらこそありがとうございました。最近、建築のあれこれに用いる素材を自然の中で見つけてそれを使うということに不思議な喜びを感じています。中でも木、竹、土は自分で得やすいもの。格別にいいものである必要はなくて、でも目にし、手にして、これ、というものをそれに相応しい格好に納めてあげたい。おそらく昔の人はそうしてつくっていた。格別なものではなくて、普通のものだ。でも、ちゃんとつくっていた。昔の何気ない家や小屋、石垣などでいい表情をしているものをよく見かけるのも、そうしたものとひととの関係によるものではないか。間違いばかり、何をしても下手で、だからその分、一生懸命やるしかないと思うようになっています。
ヤマシタリョウ(和眼鏡作家):ものを作るという作業の根本のことだと思いますし、佐野さんは以前からずっとそうした仕事に導かれていることと思います。ただ私達はいま改めてそうしたことを意識したい気分なのかもしれませんね。ものづくりにも現代病の苦しさが蔓延して歪みが進んでいるように思うのです。そうしたときだからこそものづくりの原点に回帰し、そこで得た気づきを多くの人に紹介せねばならないと思います。奈良での展示タイトルの「天工開物」はファン氏につけていただきました。何処か大陸的なおおらかさを感じた言葉ですが、彼にもまた創る者として胸にしまっていることなのかもしれません。
ヤマシタリョウ(第七世山ノ瀬亮胤)「天工開物」展(奈良葛城ファン邸にて)
毛利: 朝からお邪魔させていただきありがとうございました。予想を超える狭小町家で、先生と学生さん達が奮闘する様を感じ、また考えさせられもしました。道上さんのお話、京都の皆さんにも聞いていただきたいです。
毛利さん、道上さん、わたしたちの現場においでいただき、ありがとうございました。学生たちの実習としてだからこそ出来ることがあると、もう30年やって来ていますが、いまだに多くのことを学ばせてもらっています。今後ともよろしくお願いいたします。
(さの)




