中京区の長屋改修2025−7 11月は みんなでひたすら壁塗り

11月6日長屋改修実習の日。ずっと壁のこそげ作業をしてくれたO+F 君二人もこれで最後。今度は塗ってもらうからね。

通り庭のキッチンとなる場所の壁をこそげ落としてもらう。青っぽく見えているのが浅葱土。この下に漆喰が塗られている。3層ほどを落としてもらっている。

1階はS永君に壁塗りの前にベンガラ塗りを。黒はきつ過ぎるので、赤を混ぜて塗ってもらっている。天井に見えている床梁は真っ黒。

2階はやっと下塗りがほぼ完了。次回は外の壁を塗るので、窓枠や柱梁にベンガラを塗り、油拭き作業を。

木部をしっかり見せるよう、ほぼ真っ黒のベンガラを塗って見たが、どうも黒々としてめりはりはあるかもしれないが、どうも落ち着かないような気がする。

庭のトイレではS我君が床組をやっている。配管との取り合いに苦労しているようだ。現実の仕事とはこんなものだよ。

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11月10日。S田君が1階の下塗りをしている。例によって上手い。きちんと平な面をつくってくれている。

学生たちに混じって壁塗り。今日は外の表面を下塗り。

写真を見るとなかなかいい色合いなのだが、実際は乾くと灰色で嬉しくない。先週は淡路島から道上さんが持ってきてくれた浅葱土を塗りたいと書いたが、間に合わない。また、寒色というのもどうか。

べんがら隊長S永君、通り庭に回ってもらっている。その次は階段だね。

こそげ隊長のO山君も実は壁塗りが上手いということがわかった。火袋の下塗りをやってもらった。ここから見ると額縁に収まっているみたいだね。

F坂君には火袋手前の階段上がり口の小さな壁を。

みんな壁塗りしたかったみたいだね。どんどんやってください。僕より下手なのはダメだよ。

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11月13日。あちこち仕上げ手前の作業。

S田君、O山君、F坂君が1階の部屋の下塗りを。

その下でS我君がトイレの床を切っている。

丸鋸にも慣れてきたようだ。

S永君が階段周りの木部にベンガラ塗りをしてくれている。

この辺りになると学生たちも今自分が何をすればいいか、どうすればほかの作業の邪魔にならないように出来るかを自分で考えて動けるようになる。よしよし。

前回塗ったベンガラをサンドペーパーを掛け、拭いて落とし、どぎつい黒を和らげてみた。やっぱりこの方がいい。

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11月17日中京区の長屋改修の日。先週京北で入手した杉の板を掘り炬燵のテーブルにどうかと置いてみた。高さはこんなもの、奥行きはこれでもいいけれども、窓との当たりが変だね。当初は赤い芯材部分を他の材から移してはぎ合わせようかなと考えていたけれども、逆に外側の辺材部分を補った方がいいとみんなの意見。そうだね。そうしよう。
この杉板は京北の下宇津にある製材屋さんのところで求めたもの。すべて天然乾燥にして2年以上置いたものだけを出しているという、やや高級な製材屋さん。こんないい製材屋さんがあったとは。文化財の現場に材を供給しているとのこと。素晴らしい。ずっと続けて欲しいものだ。
 前日に岩本君から譲ってもらった黄土、稲荷山黄土とすると、ずいぶん高価で貴重なものだ。陶芸家さんの倉庫にあったものらしい。陶芸で黄土を使うんだ。
さっそく砂をふるって中スサを合わせて練ってみると、黄土にしてはずいぶん赤い。赤の京錆び土との中間くらいくらいかな。そういえば、25年前によしやまち町家の表と玄関の壁を塗ってもらったあの赤に近い。今はずいぶん黄色っぽくなっている。やっぱり黄土なんだろうか。
お昼の差し入れに来てくれたお施主さんに手元をしてもらいながら、表面を塗ってみた。
ずいぶん砂を混ぜたけれども、それでもまだ泥っぽさが残っている。かなり粘性の高い土だ。
陽が翳った頃に3面塗り終えた。これで表面はおしまい。次回、足場を払いましょう。
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11月18日放課後に仕上げ用の中塗り土と砂、中スサを買って現場に。寒い風が吹いていて、おまけに雨も降ってきた。北を見ると、冬の雪雲のような低い雲が山を覆っている。長屋の外壁の水切り、前包みを掃除してベンガラを塗る。すぐには乾かないので、油塗りは明日にしよう。
 粉土を練ると、あれ?ずいぶん灰色だ。いつもきれいな黄色っぽい土色なのに。これでは仕上がった壁がイマイチだ。昨日外壁に塗った黄土の残りがあったので、それを少し混ぜてやると、いくぶん血の通った色になった。やれやれ。まるでデジタル画像の色補正みたい。壁を2枚ほど塗って今日はおしまい。
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11月20日長屋改修現場の足場を解体しました。オレンジ色の壁面が見えます。
二階の窓から見ると、瓦がずれまくって、壁土が溜まっています。お掃除しなくちゃね。
塵を履いて、水洗いします。両隣にも埃が飛んでいるので、そちらもお掃除。
ついでにざっと瓦を並べ直し。一番上の面戸の土が落ちてしまってます。後で、ちゃんと土を練って瓦を葺き直しして、面戸も土を詰めてあげましょう。面戸の隙間から二階の部屋の内部がちらりと見えています。雨も風も入るわけです。
午後からはみな各自の作業です。トイレチームは軒に板を張っています。
私は二階の部屋の壁の仕上げ塗り。これで2面終わりました。
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11月25日放課後、ちょっと材の加工をして長屋改修現場に。冷たい雨の中、向かいの長屋ゲストハウスに来ている米国人家族のかわいいお嬢ちゃんが手を振ってくれた。なにしているの?という表情。大工仕事に興味があるのかな?二階のスイッチボックスを拵えていたのだが、迂闊なことに側板の木端を丸く削る小ガンナを忘れていたので、取り付けられない。明日にしましょ。
(さの)

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