土壁3Pモデル耐力実験@伝統構法 1/17

12月に行ったフレームだけの実験からほぼ1ヶ月経って、土壁が塗られた試験体で再び水平加力試験を行いました。

この試験体は、現在、左京区で木工チームが改修工事を行っている町家の軸組に倣ったもので、1間半のいわゆる3Pモデル。

1Pがフルの土壁で、ただし、最下端が石の上に乗っているだけなので、実験では土壁の下端を開けています。土台との

圧縮の踏ん張りが効かないので、その分、耐力は上がらないことが予想されます。

残りの2P分が欄間小壁となっています。試験体では、壁の厚さを65mmとしています。貫は105*15 4段、柱には通さず、

1寸ほど差し込んで3本ビス打ち。小壁には中央に縦貫だけです。

変形角1/150rad(水平変位18.2mm)で、荷重計は約4.8kN(+ー平均で4.6kN)。まずまずかなといったところです。

写真は1/60radの時のもの。早くもクラックが貫下位置に現れてきています。冬休み中にわらわらと慌てて塗ってもらったので、

ちょっと塗り方が荒っぽかったようです。乾燥収縮のクラックも目に見えて大きかったです。この時の荷重が7.1kN(平均で7.0kN)。

裏側は竹小舞の向きと同様、縦に大きなクラックが幾筋も入っています。その分、耐力はあまり上がっていないはず。

1/30radになると、耐力は9.0kNほど。1tまでは届いていません。やはり下端の欠き込みが大きいのかな。斜めにクラックが入っています。せん断力で切れたものですね。

上部を見ると、こちらは桁に当たっているので、しっかり受け止められている様子。小壁も力を受けているようですが、クラックは見られません。まだ芯までしっかり乾燥していないがために、土が柔らかめということなのかもしれません。

どんどん押して、1/20rad、水平変位135.5mmの様子。ここまで来ると、クラスのみんながじっと見守る中、試験体が悲鳴を上げ、さすがにただ事ではない怖さが伝わってきます。小壁で柱が曲げ変形を受けているのが見えます。一般に、古民家の類は、大きな小壁による耐力が主となりますので、柱が曲げ破壊してしまいます。鴨居部分の断面欠損が大きいこと、柱の断面が十分にない場合には、1/20radを超えて行くと、危ないと思われます。(伝統構法では1/15radを限界と見做すことがあります。)

実験はここまで。最後にスタッフで記念写真。お疲れ様でした。ありがとう。明日にでもデータをグラフ化してみましょう。(さの)

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