伊賀上野の古民家修繕−5 3月22日

前回は学生たちだけで梁と柱を入れ替える作業がどうしてもできなかったようだ。柱や梁、個別には仕口を合わせられたのだけれども、合わせてはどうにも納められないと、電話でやりとりしながらの作業だったが、結局、ギブアップ。

やはり経験がない学生たちには難しかったようだ。

22日に来れるだけの学生を集めて、伊賀上野に向かった。

現場に来て、早速、梁の2段ほぞを斜めにカット、角度を持って差し込めるようにして、

学生たちが苦労した重い梁にロープで小屋梁から釣り上げる段取りを。

まず、3mの柱を継手に差して、でもよくあることだが、鎌が長すぎて当たってしまっている。

もう一度外して鎌の長さを縮め、今度はOK。まだ締まりきれないので、楔で締める。

梁を柱に差し込んで、こちらは1回でちゃんとはまった。

「ほらね、わけないじゃん。」

2日間かけてできなかったことが2時間ですんなりできて、学生たちはいささかおかんむり状態のよう。

「なんでも経験だよ。臨機応変の工夫はそれまでの体験の積み重ねから出てくるんだ。」

そういえば、私も子どもだった頃、田舎の普通の大人たち、老人たちが雑作もなく作業を納めていくのをすごいと感心したものだ。

いつしか私もそんな老人になったのかもしれない。

次は、暗い物置に明かりと風を入れる窓が欲しいというお施主さんの要望から、とりあえず間に合わせの材で窓台と窓まぐさを仕込みます。一方の小口に目地を作り、片方に横栓を入れる仕事である。墨をつけて、言われた通り加工して、所定の位置にはまったのをみて、おお、と喜ぶ学生たち。

「この時に大事なことは、柱の癖を取ることなんだ。」

次に取り替えた柱の両側の壁をこしらえる。まずは柱に添え木を縫い付け、貫穴を掘り、貫を仕込んでもらいます。これは以前に彼らもやったことがあるので、自分で判断して作業してくれます。なんでもやらせてみることですね。

貫仕込み作業を横目で見ながら、手の空いている学生くんに前回残した裏返し塗りを。他に誰もいないので、私が外で土つくりをして、一輪車で運びます。このあたりでもう夕方になってしまってます。お〜い、早く貫を入れてくれ〜。

貫が終わったら、次はえつり竹を仕込みます。これも一度は体験済みなので、ちょっとした指示でできました。小舞を掻いてもらっている間に、私はまた外で土つくり。もう暗くなっているので、脇の部屋の電気をつけて、外に漏れてくる明かりで土をこね合わせます。腰が疲れてきたよ〜。

小舞ができたところに、時間が惜しいので、学生君に手元を頼んで、私がどんどん土をつけます。塗っている間に、学生たちには資材や道具をトラックに載せて帰り支度をしてもらいました。昼から休憩も取らず、夕飯も食べず、作業が終わった時はもう9時半になっていました。早く帰らないと、あちこちから来ている学生たちの電車がなくなってしまいます。なんとか京都駅11時過ぎの電車に載せてあげることができ、ホッとして家路につきました。やれやれ、みなさんお疲れ様でした。次は外の焼き板張りです。学生たちだけでできるかなあ。頼んだよ。(さの)

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