建築科1年前期木造住宅設計から 5作品   2024年9月17日

今年の木造2階建住宅の設計から入線作品として5を紹介。

今年の街並みベスト6 左から時計回り:末田、奥井、末永、福地、曽我、村上

1 末田修大  最優秀賞  敷地F    和風 土壁 瓦葺き 瓦塀 茶室

模型を段ボールで作ってみました。細かいところが難しかったです。この写真は道路に面した北面になります。人の通る門と車のゲートのほかは高めの塀で囲っていて、玄関ポーチを突き出しています。

外観は昔の農家武家住宅風ですが、中身は現代風。玄関ホールから中庭を見て、右に客間、左にLDKを配置、二階へはリビング吹き抜け階段でアプローチします。

屋根は和瓦、外壁は真壁土塗り壁で漆喰塗りを考えています。

矩計図は吹き抜けリビングを切っています。

室内パース:LDKに踏み込んだところから見た眺めです。

講評:宮大工志望の末田君らしい古風な the木造 の家。表外観は東西に長く伸びる2階建て入母屋つくりと見せているけれども、東にLDK, 西に客間を南に突き出して、屋根を主屋に伸ばして、プラン的にはまったくモダンな構成となっている。よく出来ているのだが、昔の家づくりの構造のまとまりのよさも勉強してみれば、また違った重みを得られるように思う。立面のデザインも昔の民家の美しさを見習ってほしい。(さの)

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2 福地有香  敷地A   オープンガーデン モダン和風 ガルバリウム屋根 客間を離れ風に

講評:和室と母屋との間に中庭を挟んで配置したり、直接和室にアクセスできる土間を備えていたりと、日常の生活空間から少し距離をとるような工夫が感じられるのがとても良い。和室の間取りも単純な長方形ではなく、旅館の1室のような奥行きを感じさせる形状となっていて気持ちがよさそう。 二階間取りは各居室が南面するように工夫されていて日当たりがよい。 中2階に書斎があり1階のリビングと2階の各個室の中間地点で、家族全体の共有空間という位置づけとなっている。 外観はシンプルな寄棟で軒先の水平線が伸びやかな建築となっているが。2階建ての階高が少し高いのか2階のボリュームが大きく感じらえるので次からは階高をもっと意識して計画できるとなお良いたたずまいの建物となるだろう。(中田)

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3 末永朋也  敷地B   和風 瓦葺 土壁 真壁漆喰塗り 板塀

計画:東に道路に接し、北側に駐車スペースをとって、玄関位置からずらして門を設けた。広めの玄関とホールから和室客間とLDKに入る。あえて階段をLとDの間に設けて空間を分けている。東南隅に茶室を設け、和室からアプローチし、門前の庭の景色とした。

講評: 末田君の設計に似るが、末田君の郷健な構えに対して軽さがある。玄関ポーチの屋根の流れに一工夫加えれば、和洋を数寄屋に入れた藤井厚二風になるか。立面や模型を見ても、隠れたセンスのよさが見える。LとDの間に透けた階段を設けて空間に落ち着きをもたらすのはちょくちょく見る工夫だが、階段室としてまったく遮断してしまうのは、どんなものか。リビングルームはかつての応接間から家族室側に寄って来たという歴史からすると、先祖帰りと見るか。茶室は客が西側から、亭主が北側から水屋を経て入ると見えるが、炉の位置が違うように思う。(さの)

4 奥井照夫  敷地C   和風 ガルバリウム屋根

計画:東と南面に道路がある角地で、東からアプローチする。東正面は昔の農家風で、表に奥行1間の吹き放しの庇を設け、ポーチや自転車置き場としている。東側を2階とし、切妻屋根を西側に伸ばして吹き抜けLDKとする。南庭にドッグランと菜園を設け、ウッドデッキで楽しむ。

講評:滋賀県の農家さんの家で育った奥井さん自身が築100年の古民家を改修した中で、かつての土間を吹き抜けリビングとした経験から、この案に至っているようだ。確かに奥井邸も吹き抜けリビングの空間を二階に上がる階段から楽しめるように出来ていて、まさにその再現なのかもしれない。(奥井邸についてはみんなで見学をさせてもらった。ブログ参照 https://kyotokenchiku.ac.jp/blog/kac-blog/21959/)(さの)

5 山田楓也  敷地A   モダン和風

講評:外観は平屋部分を板張りとし、2階建て部分は黒色とする構成。 これにより平屋部分に横に伸びやかな印象を与えている。道路から見た外観もシンプルにまとめられていてセンスを感じます。雨の日のことを考えると、出来れば玄関部分にもう少し軒の出が欲しいところです。 2階のボリュームをできる限り小さくするように個室とトイレと小さなフリースペース。 1階は敷地の形状に正直に東西に長い間取りとなっている。 2階北側が1階よりせり出していて、1階の柱がむき出しとなる箇所があるため構造的にはあまりよろしくない。もう少し1・2階の間取りの整合性を考えられるとなお良い案となったと思います。(中田)