4年前に卒業し、滋賀県立大学の3年次に編入、現在は同大学院で学んでいる土器屋さんにミニレクチャーをお願いしました。
ついこの間まで学校にいたような気がしていましたが、もう4年も経っているのですね。大学に行っても元気で頑張って、数々の最優秀賞を得られていると聞きました。
「大学ではあまり座学でみっちり建築を教えるというようなことはないです。
「設計演習にしても、最初からパソコンを使い、きちんと手書きで図面を描くという訓練もしていないので、図面が描けない学生が多いのに驚きました。専門学校での基礎がずいぶん助けてくれたように思います。
「大学では図面などの成果物で評価するのではなく、そこで何をどう考えたかを見ますので、コンセプトやエスキースが重要です。専門学校でやった自由課題の経験が生きました。
「学部の時にやったトイレのデザインコンペで最優秀賞をいただき、実際に渋谷で建築されました。でも学生たちは工事にほとんど関われなかったので悔しい思いをしました。その他、幾つかの設計で最優秀賞をいただき、プロジェクトで実現したのは嬉しかったです。
「専門学校でも木匠塾に参加しましたが、県立大学でもやっています。これは竹を用いた創作です。最近は専門学校でも竹林で同じような活動をされているようですね。
「専門学校ではできなかったことですが、私の環境学の研究室ではアジアのスラム空間の調査や研究をしていて、先生にあちこちに連れて行っていただいたのが素晴らしい勉強になりました。これはインドです。
「他に、ヴェトナムや中国、チベットなどに調査に行きました。次第に、建築デザインよりも、様々な人が生きている空間そのものに興味が出てきました。
「また、大学の研究室での調査の他に、大学を休学し、ヨーロッパに旅行に行きました。あちこちの国と地域を歩きましたが、いい経験になりました。
「現在は大学院に進学し、研究を続けています。大手の設計事務所でもアルバイトで学ばせていただいていますが、今後は中国で就職してみたいと考えています。
「これは専門学校時代に設計した作品をポートフォリオにまとめたものです。編入試験の面接試験の時のためにこしらえました。試験では、魚谷先生の指導で行った「京都建築スクール」の成果物が評価されたようです。
〜なぜ大学に行かず、専門学校に?
「大学を受験しようとしていて、同じ受験生たちがあまり考えもなしに大学に行こうとしているのを見て、違う道を行こうと。自分で勉強するのなら、京都で勉強したいと。京都で実習をやっている専門学校は、ここしかなかったので。
〜どういうわけで大学に編入を考えた?
「京都建築スクールでの経験で、もっと建築を学びたいと強く思いました。
〜後輩たちに伝えたいことは?
「専門学校での学びはとても貴重で、大学ではできないと思いました。ほとんどの学生たちは大学に入って遊んでしまってます。4年間の内、最初の2年間でどれだけ建築の基礎を学ぶか、特に技術的なことをきちんとやることがその後の本格的な勉強のために必要なことだと実感しました。専門学校で基礎的な技術を身につけたことがとても大きかったです。建築をもっと学びたいと思う人はぜひ大学に編入することを薦めます。
〜土器屋さんがこの学校を受験にきた折に、すでに大学にいくべき人と思いました。その通りに勉強を続けてくれて嬉しく思います。今日はありがとうございました。今後のさらなる活躍を期待しています。 (さの)