町家ゼミのhayashizakiです。今日から冬休みですが、ゼミの恒例行事となっている島原の町家の大掃除のお手伝いに参加しました。レナ先生がこの町家の8年前の改修工事に関わってからのことだそうです。キッチンの高い梁や窓、エアコンのフィルターの掃除などです。
ちょうど2階のアトリエでは木工チームが作業中。ちょっと見学させてもらいました。上を向いて細かい仕事を要求される天井板張りはいかにも難しそうです。コスタリカにおられたというKさんが土壁塗りに挑戦してました。
作業を終えて、Kさんを囲み、みんなでテータイム。Kさんは外国人向け文化ガイドをされておられ、かつてよしやまち町家にも来られ、レナさんもお友達だそうです。コスタリカにある国連平和大学で学ばれ、そこで書かれた論文が「職人が世界の平和を守る」とか。
K:「伝統の職人さんって、自分のことだけでなく、使ってくれる相手のことをよく考えて仕事をしているの。エゴイズムでは平和は守れない。今こそ伝統の職人さんの共生きの考えを学ばねばならないと思うのです。」
なるほど。でも、それって日本の職人に限らないですよね。
K:「いえ、例えば生け花の宗匠は花を生けるのだけれども、生けて「花になる」と言ってます。花を格好良く差すフラワーアレンジメントとは違う。日本の優れた職人さんもそう。そのものになりきる、ものの本質(自然)を目指すということは、外国人の研究者もよく指摘しています。」
そうなんだ。日本人の自然観ってよく言われるけれども、平和につながるということで、現代でも有効なんだということですね。
K:「3月にはプリンストン大学の学生たちをよしやまち町家に連れていきますので、さの先生、伝統の大工さんや住まいの考え方をよろしくお願いします。」
さの:「はい、楽しみにしております。こちらこそよろしくお願いいたします。今日の土壁塗りでは苦労させてしまってごめんなさい。」
K:「いえ、楽しかったです。やっているうちに、はまってしまっている自分がいるのに気がつきました。どうしようもなく下手なんですが、我を忘れて集中するって気持ちがいいですね。」
さの:「そう、やっていると、みんなそんな感じになります。でもだんだん慣れてくると、うまく塗ろうと思うようになり、そういう目で見るようになると、自分の下手さ加減ばかりが見えて、楽しくなくなって来ます。そこを乗り超えるのにはやはり修練が必要です。それを繰り返し繰り返しして、職人に近づいていくのでしょうね。」
面白そう。僕もプリンストンの学生さんたちの意見も聞いてみたいです。同席していいですか?
さの:「もちろん。ただし、英語だよ。」
え?
K:「私がちゃんと通訳しますから、大丈夫ですよ。」
はい、よろしくです。(こんな感じのやりとりでした。hayashizaki)