市民講座シンポジウム「今日の民藝という視点。」12月2日 ご案内

今日、僕たちが暮らしに求める「美」を民藝という視点から見てみようというものです。

かつて90年ほど前、思想家であり美学者であった柳宗悦(やなぎむねよし1889~1961)が提唱した民衆工芸の美、民藝は、その後、濱田庄司、河井寛次郎ら作家の創作活動とともに全国的な運動となった。当時、柳田邦男や今和次郎たちの民俗研究とも重なり、それまで美の鑑賞の対象とされていなかった民家への関心も高まる。今日でも、華麗な御殿や社寺の美しい建築の鑑賞と、古民家や庶民的な町家の味わいとは、同一に語れません。この両者を同じ「美」という言葉で表現することには、どうしてもある種の抵抗を感じます。その抵抗とは何か、どこから派生してくるものなのか、民藝の求める美の本質は何か?

ぼろ町家やいぶせき農家などを喜ぶのは、懐古趣味的とかレトロ、ともいわれますね。ちっとも今日的ではない、過去を美化して実体を見ない感傷的な態度にすぎないなどとも批判されることも。でも、そこに何かしら見るものを惹きつけてやまない魅力を感じていることは確かなことです。それが何なのか、そもそも柳はどう捉えているのか、今日の民藝研究者である鞍田崇先生(哲学者、明治大学准教授)に伺いたく思います。

座談会として、朝鮮の建築研究で知られる西垣先生、優れた古美術鑑賞眼を持たれる山本先生にも参加をお願いしております。西垣先生ご自身も古い伝統家屋を改修して住まわれ、山本先生も伝統古民家を別荘に持たれています。山本先生は本校の講師としてインテリアの講義を持たれており、ともに鞍田先生のご友人であり、大変な論客でもあります。当日はこんなメンバーでどんな議論が出てくるか、とても楽しみにしております。

在学生は全員、出席してください。卒業生、学校や講座に関心のある方、一般市民の皆さんもどうぞお気軽にいらしてください。お待ちしております。

(さの)

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