京大吉田寮改修設計コンペ @建築概論10月31日

池井健先生によるコンペ設計ゼミでは、今年大きく取り上げられている京大の吉田寮問題を考える9月の意見交換会に合わせて開催された吉田寮改修設計提案コンクールに3点6名が出品。10月31日の建築概論授業にて発表してもらいました。

最初に2年の高君による吉田寮の紹介。TV朝日で取材放送された15分の番組の録画も。この録画の最後に、彼らの3つの作品が紹介されていた。

 

高君(+林さん)の作品。3棟の東西に長い寮建物を南北に大学キャンパスから近衛通りへとつなぐアクセス路が貫き、1階は店や集会、展示などのパブリックな施設、2階に寮室が並ぶという提案。3棟を12mの木質フレームでつなぐことで耐震性をもたらそうというもの。コンセプトはシンプルで明快だ。

夜間2年生の細辻さんの作品。南の近衛通りから寮の3棟をまたいで北の大学キャンパスへと通じるブリッジ広場を構想。広場にはところどころ穴が空いていて、光が下の食堂などのガラスの施設に落ちる。ブリッジ広場はかなり大掛かりだが、もっと軽くできれば、あってもいいかもしれないと思えた。かなり強引に作り込んだ案。

森さんの作品。2階はほぼそのまま、1階の床と壁をところどころ抜いて土間にして外部に。ぶらぶら歩く人や動物と一体の空間にするというもの。一見秩序感がないところがいかにも森さんらしい。105年の歴史を感じさせる木造の2階部分と、自然と一体に吹き通ったモダンな設えで補強された1階という対比が狙いかな?引き算でゆったりとした感じにという雰囲気が好ましく思えた。

老朽化と耐震性の不安から改修あるいは改築を企図する大学側と、歴史的評価もある吉田寮の保存を要望する市民、これまでの寮住まいの継続を訴える学生たちの三者の思いを公平に満たそうと思えば、なるべく現状の雰囲気を損なわないような補強、補修をする案がもっとも無難な解決になるだろうとは、誰しもが思うことであるが、上の3者はいずれもあえて、思い切って手を入れて姿も使い方も変えた提案をしている。いずれもまだ雰囲気でしかなく、もう少し詳細設計やデザインを詰めてもらえば、いいものになると思われた。ここで終わらず、できれば卒業設計として先に進めて欲しいと思う。(さの)