中京区の長屋改修2025−4  8〜9月の作業から 小舞編みと荒壁塗り

8月12日、久しぶりに中京区の長屋改修現場に。ほとんどの学生たちが郷里に帰省して、1人だけ京都のS永君が2階の一筋敷居鴨居を納めるのを手伝ってくれた。
二階の階段から部屋に入る片引戸と物入れの片引戸が位置を前後にずらして通るという妙な
ことになっている。
懸案の1階の4畳の庭側の吊り床もそろそろデザインを決めよう。
2階の直上にシャワーが来るので、配管が天井よりも下がって出て来る。それを隠すのに吊り床をこしらえようというアイデアだったのだが、思いの外、配管が手前に出て来て、部屋の割に大きな吊り床となってしまう。
斜めにつくってみてはどうか。三角がどうも落ち着かないぞ。下にも三角を地板として置いてはどうか。畳が変だなあ。
この日、そうだ、三角の板を浮かせばいいかもという案が浮かんだ。三角板は上から細い竹で釣る?斜材で釣る?板の裏で持ち送りで支えてやるにしても、視覚的に釣る細工が欲しい。
こんな感じでいかがかとお施主さんにお見せしようと、現場写真を加工して吊り床を描いてみた。
う〜ん、これもどうかなあ?よくあるのは、上から細い竹で釣る、あるいは中柱を立てる。いや、どちらもしたくない。置床にするか?
8月13日、シャワーユニットを囲んで張った合板に土塗りのための下地に麻布を張る作業を。土を付ける直前にホワイトボンドを薄めて塗りつける。早く土壁塗りしたいのだが、まだ前にやらねばならない仕事がたくさんある。学生たちが帰ってくるまでにちょこちょこやることにしよう。
9月3日授業が終わって中京区の長屋改修現場に。学生たちは茶堂の古材柱の根継ぎと長屋の鴨居敷居仕込みとに分かれての作業です。私は2階シャワー室前の床板を。M上君はトイレの
柱を建てにやってきました。
9月4日午後遅めから長屋改修現場に。火袋の土壁の竹小舞下地をこしらえました。押入れの上の小壁も寝転がって編みましたよ。そろそろ荒壁を塗りたいです。
9月10日学校は前期の成績会議や補習などでなかなか現場作業に行けない。でも遅れている長屋の改修を少しでも進めたく、夕方になって土壁下地の竹小舞を現場に運び、ちょっとだけ作業を。
 多くの庶民町家や長屋で一番多いのが雨漏りや床下の湿気を吸って柱の脚元が傷んでいること、土壁が解けてしまっていることだ。全部落としてやり直してやるのが一番だが、なかなかそこまで出来ないので、壁の傷んでいるところを元気なところまで削り落として、30cmほど小舞を重ねて結び直してやる。落とした土はゴミを取り除き、新土とわらスサを混ぜて練り返して荒壁に塗り直す。この長屋では2度ほど塗り重ねられていてもうチリがいくらも残っていないので、1cmほどこそげ落とすことになる。その1cm下の層にはなかなかいい色合いの浅葱土が塗られているのだが、今はこの浅葱土が手に入らない。とても残念。淡路島にはもうないのだろうか?
9月11日この日は私の授業も会議もなかったので、午後から現場に出て一人竹小舞編み作業を楽しんでいた。放課後の時間に学生たちがやって来ると、それぞれの作業をするにあたり、その指図をすることになる。やがて自分の作業が終わって暇そうにしているので、編み作業を替わってもらう。えつり竹を仕込んだり、長さの異なる小舞を一本一本切って編み付けたりするのはなかなか面倒だが、ただ編むだけならひたすら編んでいればいいので、何だか自分が自動機械になったような快感に似たものがある。ハマるというらしい。パチンコやゲームもそうなのだろう。そんな作業もいいものだ。
9月22日フランスからFadyさんがやってきた。昨年からのお馴染みの日本好きのミュージシャン左官屋。フランスの南、ピレネーに近い地域で土を用いた自然志向の家づくりをやっている。さっそく、Facebookで見ていた長屋改修現場で竹小舞を編み、荒壁を塗ってくれた。さすが、慣れたものだ。
「え、これだけ?もっとやれるよ」
「いや、学生たちにもやってもらわなくてはね」
9月27日午前中は中京区の長屋改修現場に裏返し塗りに。学生チームには10月1日の万博での茶堂建設のために頑張ってもらっていて、しばらく長屋改修はおやすみ。
荒壁塗っただけでも、なんかしゃんとしてくるね♪ 。
トイレの中はお施主さんと小舞を編んでくれた学生君に塗らせてあげなくては。邪魔な道具や材は片付けて、だんだん壁塗りモードになってきます。
(さの)

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