類人猿から見たヒトの衣食住by岩田有史さん @概論 1月24日

1月24日の建築概論ミニレクチャーは自然人類学研究者である本校講師の岩田有史さんによる2回目。

この日はゴリラ、猿とヒトを比べながら、衣食住について紹介。

衣食住の内、食は別として、衣と住はともに身体を包んで外的環境から身を守るという同じ役割を持つもの。

衣服を着用するというのは、裸同然のヒトだけのものであるが、衣服は身体を隠すと同時に、その社会的身分や階級を示すものでもある。

ゴリラは毎日、樹の上にベッドをつくる。これは巣と見ることもできるが、毎日変わるようなものを巣とは言わないだろう。こういう不安定なところに寝ると、夜に天敵であるヒョウの襲来に早く気づける。ヒョウが樹に登って接近しても、目が覚めて他の樹に飛び移れる。ヒョウは樹に登れても、飛び移ることはできないので、逃げられる。

こんなゴリラのベッドをつくってみたヒトもいる。山際寿一さん(現京大総長)ですね。

二足歩行をするヒトはジャングルから草原に降りてきた。草原は隠れるところがない。それで身を隠すために、家をつくったとも考えられる。

また、ヒトは生殖行為を他人に見せないようにする。

ゴリラなど動物たちは逆に群れの仲間に見せつける。そのことで、自分の地位を確認させる。

ヒトはそのためにも家を必要とした。

二足歩行のヒトはまっすぐ立ち上がれることで、発達して重くなった脳を支えることができた。

ヒトの脳が大きくなったのは、それだけ多くの群れの交流を必要としたからだ。

ヒトの脳はざっと150人くらいの情報量をまかなえることができたと考えられる。

これは原始的な狩猟採集の群れ単位を超えて、大きな集団によって可能となる農業を始めてからのものではないか。

ただ三内丸山遺跡の発見より、狩猟採集の縄文時代という図式では説明できない状況となってい流。

考古学と自然文化人類学との食い違いはあちこちで生じている。

といった具合、とても興味深いレクチャーでした。(さの)

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