市民講座「桂離宮昭和大修理御殿整備工事の現場から」水本豊弘さん 11/26

前回7月9日の斎藤英俊先生に引き続いて、桂離宮御殿の解体修理工事を現場監督として指揮された水本豊弘さんにご講演をいただきました。水本さんは大林組の技術者として、このほか京都迎賓館など、数多くの名建築の工事現場に関わられ、レジェンドと呼ばれるに相応しい方です。御殿の修理工事はちょうど40年前に着工、6年間(その後、茶亭の工事)続きました。工事費はおよそ9億円、坪当り300万円ほど。赤字覚悟の請負だったそうです。

img_1578 会場は前回と同じ京都府庁旧本館の正庁です。いっぱいの聴衆をお迎えしました。

ご高齢で会場に来られなかった川上英男棟梁からメッセージを頂きました。

img_1574 前半は桂離宮の工事について。かなり技術的な内容のお話でしたが、桂離宮には特筆すべき話が盛り沢山です。40年も前の工事を昨日のことのように解説を頂きました。懐かしい職人さん、研究者さんたちが写真に出てまいります。皆さん、日本を代表される方たち。彼らが全国から最高の技を携えて挑んでいる風景に、あらためて桂離宮の偉大さを思います。その技術はそのまま、息子さんやお弟子さんによって、京都迎賓館に受け継がれたと水本さん。そういう人のつながりをとても大事にされておられます。

img_1585 後半はNHK特集「桂離宮よみがえる日本の美」の上映を。若き水本所長が登場、会場から微笑みが。

工事では何にもっとも苦労されたかという会場からの質問に、通常の工事現場ではない、一々の作業に専門の研究者先生がついて指示を出されるという状況、それはもう大変だったと。でも、こんな素晴らしい勉強の場は他にありえない。自分にとって、どれだけ貴重なものだったか。

新御殿の御寝所の間の床には、二重の床板の間に籾がらが敷かれていて、それは昔の籾がらの方が、今の機械で脱穀したものとは違って、ずっと強いので、それをきれいにして、再利用したと。伝統の建築には本当に面白い工夫があちこちにある。

時間があれば、まだまだお聞きしたいことがいっぱいあります。水本先生、楽しいご講演をありがとうございました。 (さの)

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