市民講座シンポジウム「今日の民藝という視点。」12月1日

12月2日、東本願寺の北隣りにあるしんらん交流館大谷ホールにて、シンポジウムを行いました。民藝の関心の高さも、講演の先生方のお知り合いが多く来られたこともあって、多くの聴衆が会場を埋めていました。ご来場のみなさまにお礼を申し上げます。

基調講演は「いまなぜ民藝か?」を語る鞍田崇さん(哲学者 明治大学准教授)。鞍田さんは民藝の研究者というよりも、民藝を通して社会の暮らしのかたちを研究し、論じておられます。

すでに今、民藝の時代、各人の感性によるそれぞれの多様な創造性が評価される時代なのだと。副題「どうしてぼろ町家に惹かれるのか?」にあるように、タワーマンションではなくぼろ町家への注目がなされる時代。それはどういうことなのだろう?

昭和の初め頃に民藝を唱えた柳宗悦は、民藝を「無数の名も無き職人達の亡き霊に贈る」と言う(「工藝美論」1929)。痛切で平凡な名も無き「私たち」の発見であり、そのような自分たちに向けて親しさ、愛情をもってつくられる工藝の本来のあり方が今日求められている。

(詳しくは鞍田崇著「民藝のインティマシー:いとおしさをデザインする」(明治大学出版会2015)を参照ください。)

鞍田崇さんにつづいて、西垣安比古さん(建築家・京大名誉教授)。西垣さんもまた大学退官後、古い伝統家屋を改修してお住いにされています。その建築と住まいの経験から、民藝的な住まいの捉え方に共感があると。

次いで山本剛史さん(デザイナー)もまた、自分で集めている北欧家具や陶器など骨董のリ・デザインについてお話されました。ご自分でも京北の山里に古民家を購入し、自分で改修、デザインされておられます。

討論はやっとぼろ町家の入り口まで来たあたりで時間となってしまいました。ぜひ続きを3年後にしましょう。鞍田先生、西垣先生、山本先生、ありがとうございました。

(さの)

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