仁王門は岩屋寺の山門である。さらに山道を登ると、急な石段があり、その上に岩屋寺本堂がある。40年ほど前から無住となり、見捨てられたままという。
石段を登ると、本堂が覆い被さるように迎えてくれた。お堂の前は狭いが、樹木を整理すれば、横田の里を見渡せるのだろう。
お堂の中に入ると、山側の屋根に穴が空いていて、雨が落ち、須弥壇空殿を破壊させつつあった。ジョージと一緒に落ちて散らばっている漆塗りの装飾彫り物を避難させた。もう1、2日いることができれば、周囲の竹を伐って足場をつくり、穴を塞ぐ応急措置ができるのだけれども。ジョージが一人でやるというのを止めた。一人では危ない。観音像に線香をあげるジョージ。いいやつだ。
境内に案内図があった。上の方に鬼岩とか、天然記念物の切開とかがあって惹かれるが、次回にしよう。
本堂の東にある大師堂。背面側が崩れ落ちていた。
本堂の東面、本堂から西にある宿坊。表はいいのだけれども、山側がやはり相当に傷んでいる。
南に突き出た尾根から横田の里が見える。出雲を流れる斐伊川の最上流には美味しい仁田米の棚田がこの地域の代表的な景観となっている。
こうしてみると、なかなかの寺院である。かつては里の大部分が寺領で、それなりに裕福なお寺だったのだろう。もともとは真言宗御室派の中国地方の重要拠点として栄えていたという。残念ながら現在は滅びゆくしかない状態にある。
参道のあちこちに石地蔵が祀られている。最近、オランダから来たイエッケに促された地元のひとたちが岩屋寺を見直し、石地蔵祭りなどのイベントを企画しているとのこと、子どもたちを巻き込んで地域の歴史や文化に関心をもつという一連の努力が始められている。人口流出を食い止めるためにも素晴らしい試みである。ぜひにも学校でも出来ることでお手伝いしたいと思う。
(さの)