東山五条町家改修2023−13 4〜5月新メンバーで引き継ぎます

4月13日、新メンバーとして、楠本君、岡田君、緒方君の3人がこの町家改修を担当してくれます。すでに3月から手伝ってもらっていましたが、卒業制作ゼミが始まりました。

現場はすでに福井棟梁が作業に入ってもらっていて、さっそく垂壁の補強、正面の腰板などが出来ています。縦羽目納まりで、縦桟は職人の町家らしく太めにしてもらっています。シロアリでぼろぼろになっていた天秤梁も庇の屋根を抜いて入れられていました。

京大の防災研の山本先生がアメリカ人研究者のジョンさんを連れて見に来てくれました。ジョンさんはオレゴン州立大の先生ですが、自分で山の木を伐採し、加工して日本風の構造の家を建てているそうです。日本滞在中にぜひともちゃんとした木工技術を学びたいと。来週から週に一度この現場で作業を一緒にやろうということになりました。どんな腕前なのか、楽しみですね。(4月13日)

学生チームは足元が傷んでいる通り庭の南妻壁の修繕と足固による補強作業に入ります。これをやらないと排水設備工事ができません。

正面はシャッターをつける原案に対して、ショーウインドー案をお施主さんに示して、了承を得たので、設計変更です。

こんな感じにと、図に描いてます。これをもとに福井棟梁がウインドー枠の準備に入ります。

ウインドーははめ殺しのガラスが入るので、風が通りません。そこで、ウインドーの下に無双格子をつけることにしました。

将来的に手前にガラス戸を入れられるように、一筋鴨居敷居もつけるよう、棟梁と詳細の打合せ。(4月24日)

4月27日東山五条町家の現場に。格子無双窓がもう出来上がっている!月曜日に図面を見て寸法や納まりの打ち合わせをしたばかりなのに。水曜日には出来ていたと学生くんが報告してくれていた。福井棟梁のおそるべきスピード。
アメリカ人教授のジョンさん、「今日は何をする?」「今日は土壁塗りをしてもらいます」木工も上手かったけれども、左官も大したもの。アメリカでは自分でも塗っているよと。私がやりかけの小舞下地を完成させてもらう。アメリカの伝統は木ずり下地だが、最近は合板に塗ってばかりらしい。
5月2日、断熱材として床下に敷く籾殻を京北の農家さんにもらいに行きました。サイロからどどっと籾殻が落ちて来ます。2往復トン袋2袋でちょっと足りないくらい使いました。
籾殻を敷いて床板を張っているところです。2.5m3ほどと計算したのですが、2.8m3ほどになり、不足分を向日市の農家さんにわけてもらいました。
この頃、やっと通り庭の足固補強が出来上がりました。
岡田くんにはトイレの床を張ってもらっています。さすが岡田くん、きちんと框を仕込みます。
5月22日午後から東山五条の現場にて垂壁の壁塗りをしているところにオランダ人女性が訪ねてきました。イエッケ・ファン・ルーン(Jikke van Loon)さんはオランダの美術館で出会った仁王像の等身大デッサンをオランダのタイルに焼いて、仁王像の出所である奥出雲の廃寺にかろうじて残っている仁王門に戻そうというプロジェクトを立ち上げ、しばしば奥出雲に通っているという。なんと素晴らしいプロジェクト!オランダの文化局やオランダの会社が出資協力してくれているという。さすが文化先進国だけのことはある。日本の文化庁もこういうところを後押ししてくれればいいのだが。さっそく学生チームで門を建てに行くぞ!と言いたいところだが、奥出雲は遠いなあ。でも何かお手伝いしたい。
(さの)