東山五条の町家改修2023−16  9月の作業から

9月補習期間に入っていくらか学生君たちも作業にかかれる日が多くなってきました。主に建具を製作し、現場に吊り込んでいきます。

まずは岡田君が通り庭に面した開口部に古建具をそのまま納められるように鴨居を下げ、欄間建具を入れます。

次にミセニワから通り庭に通じるところに吊り戸を立てます。これも古建具をそのまま利用して、吊り金具をセットします。

奥の庭に開いた開口部も古建具の高さに合わせて鴨居を入れることにしました。ここにも欄間が出来て、通り庭の建具と同じようなデザインとなりました。古建具の古いガラスを切って嵌めていきます。

岡田君につくってもらう建具は玄関の吊り戸。手持ちの欅材でつくりますが、縦枠に予定していた欅の古材がソリが強くて使えないことがわかり、ナラの板を割ってこしらえることに。

岡田君は機械を使わず、手鋸で2枚ホゾの仕口を拵えています。長津さんにいただいた古い鋸に新たに歯をつけてもらったのがお気に入りですが、バンっと大きな音を立てて割れてしまいました。長津さんに直してもらうことに。

9月14日、1年生の相馬さんと西脇さんに表面のベンガラ塗りをやってもらいました。

ベンガラを塗ると、とたんにしょぼしょぼしていた町家がシャキッとします。ありがとう!これで2階の壁下地塗りができます。

ウインドーの大きなガラスも入りました。とたんに近所の人も通りすがりにおっと驚いて覗きに来るようになりました。

そして床を覆っていたシートも取りはらうと、見違えたような室内になります。

8月から製作していた楠本君の階段室の板戸がはまりました。とたんに室内の空間が締まりました。上出来です。

岡田君の玄関戸もようやく出来て、ガラス屋さんに運び、ガラスを嵌めてもらいました。その足で現場に行って吊り具を取り付け、吊るしてみます。通常の吊り戸は金属製の吊り具で吊るのですが、あえて木製の吊り具を4つの戸車で拵えています。これがなかなか難しい。同時に、古墳小屋でも同じ木製吊り具で吊っていますが、こちらは戸が軽いこともあって、まずまず動いていますが、岡田君の欅戸はどういうわけか、すんなりと動いてくれません。柱の傾きが災いしているのか、レール桁が撓んでいるのが原因か、よくわかりません。岡田君の闘いはまだつづきます。

(さの)

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