ほぼ1年おきにお招きしている奈良の設計士、岩城由里子さん(Front Design)に今年も建築概論授業にお越しいただいた。前にお願いしたのは2年前の2021年、ならまちの3つのお庭とお茶室のある町家をゲストハウス+カフェに改修したお仕事を中心にお話しいただいた。今回は生駒の大きな古民家の改修のお仕事がメイン。(現場の写真などはHPに紹介されているので、それをご覧ください)
岩城さんのお仕事では、1に地元の木をつかう設計、2に職人の技術を活かす設計、を必ず念頭においている。かつて吉野の材木屋である山長さんのお仕事に触発され、2012年、奈良の木をつかうネットワーク「奈良をつなぐ家づくりの会」を立ち上げ、吉野の山の職人さんたち、材木屋、設計士、工務店などのネットワークは今も続いている。よく一緒に仕事をしている工務店、伏見建築事務所には卒業生君が頑張っており、今回の古民家の改修も彼が棟梁として活躍してくれたようだ。職人の技術としては屋根屋、左官屋、建具屋の仕事もウエイトが重要だ。
いつも岩城さんのパース表現には感心させられる。フリーソフトのスケッチアップで作図されているが、ほかのリアルな表現ができるソフトではなく、あえて線を残すスケッチアップを使うのは、形の明瞭性ということだそうだ。木で仕上げる床と天井の面と漆喰塗りの壁とのバランスを見るにはこれで十分。奥行きも適正に取られていて実際の空間感覚にそう違わないように配慮されているようだ。
授業が終わり、聴講に見えていた中田先生夫妻としばし歓談タイム。
そうそう、岩城さんには11月の学園祭堀川茶室にもお忙しい中、来ていただいていたのでした。
こんな活動ができるなんて素晴らしいと喜んでもらいました。
ありがとうございました。
(さの)
岩城さんによる一昨年の概論ミニレクチャーはこちらをご覧ください。